大判例

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奈良地方裁判所 平成10年(わ)88号

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官小林秀一出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年六月及び罰金一八〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、協和工業株式会社ほか一社の代表取締役を勤める傍ら、個人で商品先物取引を行っていたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、

第一  平成五年分の総所得金額が一億四一一二万三五七一円で、これに対する所得税額が六一八六万六三〇〇円であるにもかかわらず、先物取引によって得た所得のすべてを除外するなどの行為により、総所得金額のうち一億二五二五万三五七一円を隠匿した上、平成六年三月七日、奈良県大和高田市西町一番一五号所在の所轄葛城税務署において、同税務署長に対し、平成五年分の総所得金額が一五八七万円で、これに対する所得税額は、既に源泉徴収された税額を控除すると一五万二五七〇円の還付を受けることになる旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、右不正の行為により同年分の正規の所得税額六一八六万六三〇〇円との差額六二〇一万八八〇〇円を免れ、

第二  平成七年分の総所得金額が一億一七六三万六五七三円で、これに対する所得税額が四九二六万二〇〇〇円であるにもかかわらず、前同様の行為により、総所得金額のうち一億一三二万六六七一円を秘匿した上、平成八年三月八日、前記葛城税務署において、同税務署長に対し、平成七年分の総所得金額が一六三〇万九九〇二円で、これに対する所得税額が四三万五九〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、右不正の行為により同年分の正規の所得税額四九二六万二〇〇〇円との差額四八八二万六一〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示各事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書二一通

一  被告人の検察官に対する供述調書三通

一  大蔵事務官作成の査察官調査書一九通

一  大蔵事務官作成の「所轄税務署の所在地について」と題する書面

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検察官請求証拠番号1)及び証明書(同番号3)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検察官請求証拠番号2)及び証明書(同番号4)

(法令の適用)

一  該当法条 所得税法二三八条(懲役と罰金を併科)

一  併合罪の処理

1  懲役刑につき 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をする)

2  罰金刑につき 刑法四五条前段、四八条二項

一  労役場留置(罰金刑につき)

刑法一八条

一  刑の執行猶予(懲役刑につき)

刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 鈴木正義)

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